ゴムボート釣りで最も重要なのは「安全」です。
特に出船判断において、風速は最も重要な判断基準になります。
普段は穏やかな海でも、風が少し強まるだけで一気に危険度が増す――これがゴムボートを含むミニボート最大の特徴です。
「今日は風速何m/sまでなら出船できるだろう?」
「予報では3m/sだけど、実際の海ではどう感じるの?」
こうした疑問は、ゴムボーターなら誰しも一度は抱く悩みです。
この記事では、ゴムボート歴15年以上・年間100日出船している私が、実体験をもとに「風速何m/sまでなら安全に出船できるのか」を、具体的な目安と判断方法に分けて解説します。
風速とゴムボート釣りの関係

出船判断に必要な情報は大きく分けて2つあります。
風速と波高です。
ただし、波高は基本的に風の影響を強く受けるため、最も重視すべきは風速です。そこでこの記事では、風速を軸に話を進めていきます。
ゴムボートの特徴(なぜ風に弱いのか)
ゴムボートは軽量で持ち運びやすい反面、風の影響を非常に受けやすい船種です。
FRP艇やアルミボートと比べて重量が軽く、水に浸かっている部分(喫水)が浅いため、わずかな風でも流されやすく、進行方向が乱れやすいという特徴があります。
また、船体が柔らかいため波の衝撃はいなしますが、その分走破性が低く、風と波が重なると一気に操船が難しくなるのもゴムボート特有の弱点です。
つまり、「他の船なら問題ない風」でも、ゴムボートでは危険になるケースが多いということを理解しておく必要があります。
なぜ風速が最重要なのか
ゴムボートで最も危険なのは、風によって帰れなくなる状況です。
特に2馬力ボートは推進力に限界があるため、風速が1m/s上がるだけで「前に進まない」「思った方向に戻れない」状況が発生します。
風が強まるほど沖に流されるリスクが増し、最悪の場合は自力帰還が不可能になります。だからこそ、風速は出船可否を決める最重要ファクターなのです。
一般的な目安(風速別の安全ライン)

以下は、ゴムボート釣りにおける風速別の安全目安です。
| 風速(m/s) | 海況・体感 | リスク | 出船判断 |
|---|---|---|---|
| 0〜2 | ほぼベタ凪 | 低 | 初心者でも出船可(理想) |
| 3〜4 | 流され始める | 中 | 経験者のみ・慎重に |
| 5〜6 | 白波・進行困難 | 高 | 出船非推奨 |
| 7以上 | 制御不能 | 極高 | 絶対出船禁止 |
※この数値はあくまで目安です。ボートの種類、装備、体力、経験値、海域によって危険度は大きく変わるため、必ず現場の状況を優先してください。
風速0〜2m/s
ほぼベタ凪で、初心者でも安心して出船できる理想的なコンディションです。船体の流れも少なく、釣りに集中できます。初出船はこの風速帯を強くおすすめします。
風速3〜4m/s
船体が流され始め、風上に戻るための操船技術が必要になります。経験者であれば可能ですが、予報3〜4m/sでも瞬間的に5m/sを超えることがあるため、常に撤退判断を意識してください。
風速5〜6m/s
白波が目立ち、ゴムボートでは非常に厳しい状況です。エンジン全開でも前に進まず、船体が叩かれる感覚になります。経験者であっても出船を控えるべき風速帯です。
風速7m/s以上
ミニボートでは制御不能レベル。釣りどころか航行自体が危険になります。予報で7m/s以上が出ている場合は、迷わず中止を選んでください。
風速だけでは判断できない要素
「風速2m/sだから安全」──そう判断してしまうのは非常に危険です。
実際の出船可否は、風速の数字だけでは決まりません。ゴムボート釣りでは、複数の要素をセットで判断する必要があります。
ここからは、風速と同じくらい重要な判断材料を解説していきます。
風向き(最重要)
同じ風速でも、風向きによって危険度は大きく変わります。
陸から沖へ吹く風(オフショア)は最も危険です。帰りに向かい風となり、2馬力では戻れなくなるリスクが一気に高まります。
一方で、沖から陸へ吹く風(オンショア)は流されても岸に寄るため、相対的に安全度は上がります。ただし波が立ちやすくなる点には注意が必要です。
予報を見る際は、風速だけでなく風向きまで必ず確認しましょう。
地形・海域の違い
同じ風速でも、場所によって危険度はまったく変わります。
湾内・入り江・島陰などは風と波が抑えられやすく、比較的安全に釣りができます。
一方で外洋・岬周り・潮通しの良い場所は、遮るものがなく、風の影響をダイレクトに受けます。予報2〜3m/sでも体感5m/s以上になることも珍しくありません。
うねり・潮流
風が弱くても、うねりや潮流が強い日は危険度が跳ね上がります。
特に危険なのが、潮流と風向きが逆になる状況。短く立った波が連続して発生し、ゴムボートでは非常に操船しづらくなります。
「風は弱いのに乗りにくい」と感じたら、すでに撤退判断のサインです。
他船との関係・視認性
風が強くなるほど自船のコントロールは難しくなり、他船・ブイ・定置網との接触リスクが高まります。
ゴムボートは非常に小さく見えづらいため、フラッグを立てる、明るい色の装備を使うなど、視認性の確保は必須です。
出船前に必ずチェックすべきこと

安全なゴムボート釣りは、出船前の準備で8割決まります。
以下のチェックを必ず習慣化しましょう。
天気予報と気象モデル
出船前には必ず複数の気象モデルを確認します。
Windyや海天気などのアプリを使えば、同じアプリ内でも複数の気象モデル(ECMWF、GFSなど)を比較できます。
モデルごとの差が大きい日は、予報自体が不安定というサインです。その場合は無理せず中止判断が安全です。
予報と実際のズレを想定する
天気予報はあくまで予測です。実際の海では、予報より1〜2m/s強く吹くことは日常茶飯事です。
そのため、出船判断は「予報値−1段階」で考えるくらいがちょうど良い安全マージンになります。
現場での撤退サイン
出船後も状況は常に変化します。
雲の流れが急に早くなる、冷たい風が吹き始める、波が細かく立つ──こうした変化が出たら、釣りを中断して帰る判断が必要です。
最終的な判断材料は、目の前の海の変化です。予報より現場を優先しましょう。
安全に遊ぶための工夫

ゴムボート釣りは、安全という土台があってこそ楽しめる遊びです。
ここでは、私自身が15年以上・年間100日以上出船してきた中で「これを守っていれば大きなトラブルを防げる」と感じているポイントを紹介します。
自分ルールを決める
最も重要なのは、自分の中に絶対に破らない基準を持つことです。
例えば、初心者なら「風速3m/sまで」、経験者でも「風速5m/sまで」など、明確な上限を決めておくことで判断がブレません。
迷った時に基準があるかどうかで、安全性は大きく変わります。
安全装備は「釣り道具」ではなく「命を守る道具」
以下の装備は必ず携行しましょう。
- ライフジャケット(常時着用)
- フラッグ(視認性向上)
- オール(エンジントラブル対策)
- 防水スマホ・通信手段
- 予備のロープ
これらは釣果を伸ばすための道具ではありません。生きて帰るための装備です。
フィールドの選択で安全性は変えられる
風が強い日は無理に外洋へ出る必要はありません。
湾内・入り江・島陰など、風と波を避けられるフィールドに切り替えるだけで、同じ風速でも安全度は大きく向上します。
また、思い切って別エリアへ移動することで、結果的に安全で快適な釣りができることも多いです。
最終判断は「行かない勇気」
釣りに行きたい気持ちは誰にでもあります。
しかし、少しでも不安を感じたなら、出船をやめる判断が正解です。
「今日はドライブに切り替える」「新しい出船場所を探す日にする」――そう考えられる人ほど、長くゴムボート釣りを楽しめます。
まとめ:風速判断ができる人ほど長く楽しめる

ゴムボート釣りでは、一般的に風速0〜2m/sが理想、3〜4m/sは経験者向け、5m/s以上は非推奨が目安となります。
ただし実際の海では、風向き・地形・うねり・潮流などが重なり、予報以上に厳しくなるケースも少なくありません。
そのため、数字だけに頼らず、現場の体感を最優先に判断することが何より重要です。
釣果よりも「無事に帰る」ことを最優先にする判断が、結果的にあなたの釣り人生を長く、楽しいものにしてくれます。
釣りは次もある。命は一度きり。
この言葉を忘れず、安全第一でゴムボート釣りを楽しんでください。

