どうも、コウタです(^^)
今回のテーマは
ゴムボート(ミニボート)釣りにおける出船可否の判断基準
コレです。
私が愛用しているゴムボートを始めとしたミニボート(2馬力ボート)は、手軽にオフショアフィッシングが楽しめるため、近年人気が高まりつつあります。
ショアからでは到底狙えないような魚も釣れますし、一度ハマるとめっちゃ楽しくて病みつきになり毎週のように行きたくなりますよね。
しかし、ミニボートは風や波に弱く、悪天候の中で出船してしまうと釣りを楽しむどころか転覆、漂流等の事故やトラブルに見舞われることもあります。
海上での事故は海上保安庁や漁師の方々へ迷惑をかけるだけでなく、最悪の場合はあなたの命を落とすことになりかねません。
そのため、出船するかどうかの判断基準を明確に持っておくことが大切です。
明確な判断基準を持っていないと少々天候が悪くても折角の休日だから…とついつい出船したくなりがちです。明確な判断基準とはどのようなものなのか、あなたも気になっているのではないでしょうか?
そこで、今回はミニボートに関する過去の事故事例も踏まえながら、出船可否の判断基準をお伝えしていきます。
また、今回取り上げる内容におけるミニボートとは、以下のようなボートを想定しております。
- 船の長さ3m未満のゴムボート、FRPボート等
- 推進機関の出力1.5kW未満(所謂、2馬力エンジン)
ミニボートの定義については、JCI(日本小型船舶検査機構)からも明確に公開されている内容があります。
興味のある方はご覧になってみてください。
ミニボートとは、長さ3m未満で推進機関の連続最大出力が1.5kW未満の船舶をいいます。
JCI(日本小型船舶検査機構)HPより
出船可否の判断基準
早速、結論からお伝えします。
ゴムボート釣りにおける出船可否の判断基準は以下の通りです。
- 風速(平均)が5m/s以下であること
- 波高(うねり含む)が0.5m以下であること
以上が今回の結論です。
どちらかの基準を満たしていない場合は出船を控えてください。
風速、波高ともに「5」というのが共通のキーワードになりますので、ぜひ覚えておきましょう。
実際には海域やうねりの周期によって異なることがあり、波高が0.3m程度でも危険なこともあります。絶対にこの条件が正解!という訳でもありませんが、なぜこのような結論であるのかを以下、説明していきます。
風速(平均)が5m/s以下であること
安全に釣行をする上で、風速5m/s以下というのはなぜなのか?
こちらは私の経験上のお話になりますが、風速5m/sを超えたあたりで海上に白波が立ち始めます。
白波が立つとボート側面に波を受けた際に、波とボート側面がぶつかるような形になり、水しぶきが上がり船内に海水が侵入してくるようになります。
少々海水が入り込んできたとしても、すぐに沈んでしまうということはありませんが、侵入してきた海水分だけボート全体の重量が増すため、機動力に影響をきたします。
また、そもそも白波が立ってくると真っ直ぐ進むだけでもボート全体が大きく前後に振れてしまい、波を超えるたびに「バチン!、バチン!」と海面に対して船底を激しく打ち付けるような状態になってしまいます。
このような状態になってしまうと、巡航速度は普段の半分ほどに低下してしまい、向かい風に向かって進もうとしても風に押し返されるような形になり、スムーズに進むことが難しくなってきます。
そのため、風速5m/s以下というのが一つの目安になります。
しかし、場所によっては島や山の風裏側であれば釣行可能という場合もあります。
白波が立っているかどうかが判断材料となり、白波が立っていなければ風速5m/s以上でも釣行可能というケースも考えられますが、基本的にはやめておくのが確実でしょう。
「風速(平均)が5m/s以下であること」のポイント
- 風速5m/sを超えると白波が立つ
- 白波が立つと巡航速度は普段の半分ほどに低下する
- 風速5m/s超えでも島や山の風裏側であれば釣行可能なケースもある
- 白波が立っているかどうかが判断材料となる
波高(うねり含む)が0.5m以下であること
波高0.5m以下が安全に釣行できる目安とお伝えしましたが、0.5mを超えるとどうなるのでしょうか?
こちらも私の経験上のお話になりますが、0.5mを超える場合のボートの揺れだと、安心して釣りに集中することができなくなります。
私もかつて、明確な判断基準を持っていなかった頃は波高0.5mを超える日でも出船してしまうことがありましたが、常時船が揺れ続けるため釣りどころではありませんでした。
また、一般的な天気予報の波高は有義波高(ゆうぎはこう)が用いられており、実際に海上で発生する波の100回に1回は有義波高の約1.5倍の波が起こり、1000回に1回は約2倍の波が起こります。
つまり、波高0.5mの予報の場合は、約1mの波に襲われることもあるということです。
これは有義波高の定義によるためなのですが、詳しくは気象庁HPを参照ください。
100個の波(おおよそ10~20分)を観測した時の最も高い波は、統計学的には有義波高の約1.5倍になります。同様に、1000個の波(おおよそ2~3時間)を観測した場合には、最大波高は統計学上、有義波高の2倍近い値と見積もられます。
気象庁HPより
1mの波に襲われることを想像してみてください。
通常、ミニボートの高さは1mもないため、モロに波を受けると確実に浸水します。
うまく波乗りできれば良いかもしれませんが、できなければ転覆する可能性もあり、常に気を張ってないといけなくなるため、釣りどころではなくなります。
「波高が0.5m以下であること」のポイント
- 波高0.5mを超えると揺れ過ぎて釣りどころではない
- 予報上の波高は有義波高が用いられている
- 予報上で波高0.5mのとき、実際の海上では約1mの波に襲われることもある
過去の事故事例に学ぶ
ここまで風速と波高の2点についてお伝えしてきましたが、ミニボートに関する事故の要因はこの2点から成る場合が多くあります。
過去に起きたミニボートに関する事故について以下、紹介していきます。
事例1
最初に紹介するのは、新潟県で起きた小型ボートの転覆事故です。
事故当時の状況は以下の通り。
- 乗船者は2人
- 風速8m/s
- 波高0.5m
船外機の出力が不明であるため、ミニボートの扱いになるかどうか微妙ですが、ボート全長2.9mと大きさ的にはミニボートです。
事故当時の状況を確認すると、波高は今回の記事で紹介した判断基準0.5mちょうどですが、風速が8m/sと強めですね。
急な強風で船内に波が打ち込み浸水した、とあるため風の影響を受けて転覆してしまったことがわかります。
風速5m/sを超える場合は出船を控えましょう。
事例2
次に紹介するのは、北海道で起きたゴムボートの死亡事故です。
事故当時の状況は以下の通り。
- 乗船者は3人
- 風速5m/s
- 波高1m
船外機の出力は9.9馬力、ボート全長も3.8メートルであるため、ミニボートの扱いを超えていますが参考までに紹介します。
事故当時の状況を確認すると、波高1mと今回の記事で紹介した判断基準0.5mを超えていますね。
船に荷物が残ったままであることから、転覆したわけではなくバランスを崩して落水したものと考えられます。
ミニボートの扱いを超えるほどの大きさで、比較的安定したゴムボートであってもこのような事故が起こります。
ミニボートであれば更に危険性が高まりますので、波高0.5mを超える場合は出船を控えましょう。
事例3
最後に紹介するのは、福井県で起きたゴムボートの落水事故です。
事故当時の状況は以下の通り。
- 乗船者は1人
- 波高1m
事故当時の状況を確認すると、波高1mであり、今回の記事で紹介した判断基準の0.5mを超えていますね。
海上を走行中に後方から受けた波の影響で落水したようなので、波高0.5mを超える場合は出船を控える方が良いと言えるでしょう。
しかも、今回のケースでは無人のゴムボートがそのまま走行し続けたそうで、30分後に何とか追いついてエンジンを切ることができたみたいです。
落水時にはエンジンがすぐさま停止するように、キルスイッチのコードを身体に繋げておきましょう。
安全装備は確実に
ミニボートは免許不要で船舶検査も必須ではないため、ライフジャケット等の法定備品と呼ばれるものを積載していなくても違反にはなりません。
しかし、違反にならないからと言って装備、点検を行わずに出船してしまうことはあり得ません。
ライフジャケットは勿論のこと、落水時に船から離れた場所に流されてしまうことも想定して、防水処置をした携帯電話も身に付けておくべきでしょう。
「安全装備は確実に」のポイント
- ライフジャケットの着用
- 携帯電話の防水処置、落水時にも通話可能なように身に付けておく
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は「ゴムボート(ミニボート)釣りにおける出船可否の判断基準」について紹介していきました。
明確な判断基準を持っていないと、少々天候が悪くてもついつい釣りに行きたくなりがちです。
今回は以下のような内容で出船可否の判断基準を紹介しました。
- 風速(平均)が5m/s以下であること
- 波高(うねり含む)が0.5m以下であること
海域ごとにもよるため、今回の基準が必ずしも正しいわけではありませんが、ご参考になれば幸いです。
これから先も長く楽しく釣りを楽しむためにも、お互いに安全第一でミニボートフィッシングを楽しんでいきましょう!
それでは(^^)